ローコードとは、視覚的なインターフェースを使用してアプリケーションを構築できるソフトウェア開発手法です
ローコードはコード記述の必要性がないため、従来の開発よりも特段早いものです。開発者はビジネス要件に対処する再利用可能なコンポーネントのライブラリを利用して、新しいアプリケーションをカスタマイズしたり開発したりする際に、ビルディングブロックとして使用できます。
従来の開発と比較したローコードのメリットについてご説明します。これらの違いとは何でしょうか? 「ノーコード」や「ゼロコード」などの用語は何を意味するのでしょうか?ローコードと同じなのでしょうか? ローコード対ノーコード対ハイコードの違いをこちらで理解しましょう。
新しいアプリケーションや新機能を求める需要がこれまでになく高まっている一方で、かけられる時間は短くなり、リソースの制約も厳しくなっています。これらの制約により、優先順位をつけるために開発者は手を抜かざるを得なくなってしまいます。
しかし、もし業務アプリケーションが簡単に構築でき、素早く展開できるとしたらどうでしょうか? 十分に簡単に聞こえませんか? ローコードアプリケーション開発があれば、簡単なんです。
ローコードアプリケーション開発は、ドラッグ&ドロップ機能やポイント・アンド・クリック・インターフェイス作成などのビジュアル開発ツールを使用して、強力なカスタムアプリの高速作成、デプロイ、メンテナンスを可能にします。
高速なアプリ開発はITチームが品質を犠牲にすることなく期限を守ることを可能にします。ローコードのスピードとスケーラビリティがあれば、アプリケーションをスケールしてどんどん複雑になっていく組織全体を広げるプロセスを改善させることができます。
ローコードにより、プロの開発者と一般の開発者の両方が、ハイコード環境よりもはるかに速く設計および構築できるようになります。
ローコードではコードの経験が必要なく、技術に詳しいビジネスユーザーでもローコードプラットフォームの使い方を簡単に学べます。コンポーネントのドラッグ&ドロップ、ガイド付きプロセスモデリング、ユーザーインターフェーステンプレートなどの機能により、ユーザーは業務アプリの視覚化と構築を容易に行うことができます。最も成功しているローコード開発の多くは、事前にソフトウェア開発のトレーニングを受けていません。技術に対する適性とビジネスが直面する課題に対する強い理解を武器に、ローコードを取り入れます。そして、もしこうした人々がすでに会社で働いているなら、さらに好都合です。組織の課題を個人的に熟知しているため、それらに対処する際に有利なスタートを切ることができます。
プロフェッショナルな開発者も、ローコードからメリットを受け取ることができます。ローコードスキルを持つ開発者の87%は、ローコードでの作業を楽しんでいます。その理由は、おそらく、より簡単、より速く、よりシンプルだからでしょう。また、開発者の82%がローコードを使用することで収入が増えると考えています。(開発者にとってのローコードの状況の統計の詳細を見る)
これらは、ローコード開発プラットフォームで見られる典型的な機能です。
ワークフローデザインのためのビジュアル、ドラッグ&ドロップインターフェイス ローコードのドラッグ&ドロッププロセスモデリングでビジュアルにプロセスを表現することが可能になります。複雑なビジネスルール、データ、システムとの統合、AI、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)、インテリジェント・ドキュメント・プロセス(IDP)などの自動化ツールや人間のワーカーに統合できます。
事前構築され、再利用可能なコンポーネント ローコードのすぐに使用できるコンポーネントが、カスタムアプリケーションの基礎となり、ビジネス全体を通して再利用することができます。
AI支援型開発 ローコードソリューションはAIと組み合わせられることでさらに高速になり、開発者の仕事も高速になります。
自動化機能 ローコードはRPAやIDPなどのワークフローを強化する広範囲における自動化や、AIを使用した自動化方法を強化します。
企業データ ローコードアプリケーション開発プラットフォームは企業データを管理する方法を提供し、高価なデータプロジェクトや拡張プログラミングを使用せずともデータを使用したり組み込んだりすることができるようになります。
生産性および連携ツール ドキュメント比較や共通パッケージリンク、グループセキュリティなどの連携機能により開発チームの連携を手助けします。
モバイルデプロイ ローコードプラットフォームに、クロスプラットフォーム機能標準仕様を搭載します。モバイルでカスタムアプリのデプロイを行うのに、別個の開発、メンテナンス、アップグレードは必要ありません。
独自のビジネス環境で、ローコードを具体的に使用する方法をイメージするのは難しいでしょう。以下のローコードの例は、ローコードツールの利点をより具体的に理解するのに役立つでしょう。
ある大手保険会社では、顧客データとプロセスが複数の部署やシステム間で分断され、連携が取れていませんでした。ローコードを使用する前は、1つのカスタマーサービスリクエストに対応するために、22ほどのシステムにアクセスする必要がありました。ローコードアプリケーション開発プラットフォームの助けがあると、データ、システム、プロセスを、1つの画面で確認できるアプリケーションを迅速に作成し、カスタマーケア担当者がこれまでの9倍の速度で顧客応対を行えるようになりました。
ローコードの別の利用方法として、予算編成アプリケーションの構築があります。大規模なマーケティングチームは、その年のすべてのプログラムの予算管理の方法を探していました。ローコードのおかげで、独自の予算編成アプリケーションをゼロから短期間で作成することができました。また、自社の仕様や希望に合わせて構築されているため、毎回、まさに望んでいた通りのものを得ることができます。
チームは、アプリケーション開発者に自動化を組み込ませました。インテリジェント・ドキュメント・プロセスを使用して請求書を提出したり情報を抽出したりします。RPAを使用して取引データの形を整え、使ったデータを戻します。開発者は強力でインタラクティブなレポーティングダッシュボードを作成し、チームのリーダーが予算のパフォーマンスを確認するサポートを行いました。予算内に収まっているか、予算を超えているかを確認して、最も支出の多いカテゴリを見極め、時間の経過とともに支出が後のように変わっているかを追跡することができるようになります。
この例では、ローコードが従業員を反復的な業務から解放したことを示しています。ある企業の給与処理プロセスです。この企業はレガシーシステムを使用して給与処理を行っており、従業員が追跡や確認に多くの時間と労力を費やしていました。
しかし、ローコードを使用することで、より効率的かつ効果的な最新システムを作り上げました。現在、従業員はローコードのカスタムアプリを使用して出退勤を記録しています。このアプリは、その給与期間に働いた時間を追跡し、時給に基づいて各従業員の給与を計算します。給与期間が終了すると、ローコードアプリケーションは自動的にその期間のすべての従業員の給与情報を財務部門に送信し、レビューが完了して承認されると、アプリが従業員に対して給与の支払いを開始します。
新しいエンタプライズアプリケーションを迅速にセットアップすることは、一般的なアプリ開発の課題により、企業にとって難解なパズルのようなことになりかねません。その課題について学び、モダンなローコードアプローチを用いてどのように対抗できるかを見てみましょう。
従来のアプリケーション開発チームは大規模かつ専門的で、複雑な社内依存、社外依存関係に溢れていました。一方でローコードチームは、機敏で連携能力があり、平等主義者であるように組織されています。チームの全員が機能を開発しており、開発者全員に少なくとも1つの専門分野(UXデザイン、試験、アーキテクチャなど)があります。
従来のアプローチでは、ビジネスユーザーとテクノロジーチームの間の通訳者として機能するビジネスアナリストに依存していました。これら2つの領域はお互いからサイロ化していて、問題に直面している従業員が、問題解決の能力を持つプロフェッショナルな開発者から分断されている状態になっていました。ローコードチームは、何十年ものJava経験を持つプログラマーではなく、何行ものコード記述ではなく迅速なアプリケーション開発で問題を解決することに興味を持っている開発者を求めています。
従来の開発慣例では、フィードバックループは2つの岸を行き来するフェリーのようなものでした。一方の岸にはビジネスユーザーがおり、もう一方にはアプリケーションを構築する開発者がいます。ローコードが開発者とビジネスユーザーを繋ぐ橋渡しを行います。この橋渡しによりコラボレーションが容易になり、明確かつ頻繁な意見の共有を促進します。これにより、エンドユーザーは途中で仮説を検証し、アプリケーションが目の前で形作られていく過程でその方向性に影響を与えるのに役立ちます。
デプロイは意味のあるマイルストーンです。しかし、アプリケーションが使用されなかったり、ユーザーエクスペリエンスが悪い場合、価値を提供することはありません。成功を確実にするためには、開発ライフサイクル全体を通じてエンドユーザーに焦点を当て続けることが重要です。ユーザーグループ内で信頼されている主要なステークホルダーを数名特定し、できる限り早い段階で頻繁に関与させることで、信頼関係を築き続けましょう。
ローコードは、最初から迅速かつ正確にアプリケーションを構築するのに役立ちます。いくつかのアジャイルのベストプラクティスを取り入れることで、長期的なスケジュールや「まあまあ」のアプリケーションを、迅速な開発と大きな成果を生むプロジェクトに変えることができます。
結局のところ、ローコードとは何なのでしょうか? これは、プロセスの実装において大きな変革をもたらす迅速な開発スタイルです。ローコード開発を使用すれば、かつては数ヶ月かかっていた大企業向けのアプリケーションを、わずか数週間で構築することが可能になります。開発時間を短縮し、技術的負債を軽減することで、ローコードはITのバックログを減らし、開発者がより多くの時間をイノベーションに充てられるようにします。適切なローコードプラットフォームがあれば、エンタプライズアプリケーションの統合、更新、修正が容易になり、組織は即時性のある世界でより迅速に適応し、進化することができます。