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RPA vs. AI

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)と人工知能(AI)の違いとは何でしょうか? ここでは、これをわかりやすく整理して解説します。

今日デジタルトランスフォーメーションが進む中、成長と競争力を維持したい企業にとってビジネスプロセスの自動化は欠かせません。自動化によって、チームメンバーは認知的に複雑でダイナミックな業務に集中できるようになります。しかし、Robotic Process Automation(RPA)と人工知能(AI)のどちらを導入すべきなのでしょうか? RPAとAIの違いについては、まだ混乱をきたすことが多いようです。

そこで、自動化技術としてのRPAとAIの強みと弱みを理解し、それを他の人に説明できるようにすることが、包括的な自動化戦略を構築する第一歩でしょう。それでは、RPAとAIの違いについて詳しく見ていきましょう。

資料を読む(英語)

自動化におけるRPAとAIの違いとそれぞれのテクノロジーの強みを理解しましょう

RPAとは何で、その仕組みとは?

RPAは、人間がコンピュータで行う単純で大量かつ繰り返しのタスクを模倣します。RPAを使用すると、ソフトウェアロボットがユーザーインターフェースのクリック操作、ウェブの閲覧とデータ収集、デスクトップへのログイン、さらにはキーボード入力など、幅広いシンプルなプロセスを処理できます。つまり、RPAはいわゆる「雑用」と呼ばれるような作業を引き受け、組織全体の運用効率を向上させることができます。

"RPAは、人間がコンピュータで行う単純で大量かつ繰り返しのタスクを模倣します。"

RPAの例

例えば、ある会社が毎月数千件の受注があり、それらを人間が手作業でERPシステムに入力する必要があるとします。このデータ入力を行うRPAボットを作成すれば、次のような大きなメリットが期待できます

  • RPAボットは、人間の従業員よりもはるかに高速にこれらの作業を実行できる

  • プログラムで制御されているため、RPAはエラーが起こりにくい

  • 以前この作業を担当した従業員は、もっと創造的な仕事に集中できる

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RPAが最適ではないケース

では、RPAの問題点は何でしょうか? 実は、人間の行動を模倣するロボットを作ることが、常に最も効率的な自動化手段ではない場合があります。例えば、同じERPシステムが最新のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を持ち、インテグレーションを通じて注文データをデジタルに送信できるとします。この場合、RPAよりもはるかに効率的で、高性能であり、ERPのユーザーインターフェースがアップデートで変更されても影響を受けません。しかし、RPAでは動作が停止するリスクがあります。

RPAが不要、または適していない場面を知っておくと、最適な意思決定の助けになります。多くのレガシーシステム、メインフレーム、ウェブサイトなど、APIが存在しない場合、RPAはそのワークフローを自動化するために必要な技術となります。RPAで高いROIを達成するための最善策は、大量で単調なステップが繰り返され、直接のコンピュータ間統合では自動化できないタスクを選ぶことです。

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AIとRPAの違いとは?

では、AIとは何でしょうか? そしてRPAとどう違うのでしょうか? AIを「認知的自動化」、つまり人間の思考の自動化と考えると分かりやすいでしょう。RPAが人間の「行動」を模倣するのに対し、AIは人間の「思考」を模倣します。例えばAIは、受信メールを分類して異なるサポートグループに振り分ける、不正な保険請求を予見する、契約書の条項を提案するなど、認知的な意思決定に利用できます。

"RPAが人間の行動を模倣するのに対し、AIは人間の思考を模倣する。"

場合によっては、AIツールがコンピュータビジョン技術を通じて「目」を持ち、人間のように視覚的に物事を理解するのを助けます。これは、データベースに保存されていない、またはコンピュータアプリケーションで利用可能になっていない非構造化データや情報を扱う際に有効です。RPAの注文入力の例で当然のように前提としていたのは、注文データはすでにデータベースにとって読み取りやすく、ロボットやAPI統合で使用できるように構造化されていたという事実でした。しかし、注文データはPDFや手書きの書類など、非構造化形式で来ることも多くあります。これらはまだロボットや統合で使用できる準備ができていません。その場合はデータの準備作業が必要です。

AI、RPA、機械学習の違い

機械学習(ML)は、デジタルシステムがパターンやルールを使用して実際のデータから「学習」する方法を指します。機械学習は問題解決やデータセットの分析に利用され、AIツールの作業を補完します。

では、機械学習なら先ほどの注文入力の場合はどう役立つでしょうか。機械学習モデルを使って、AIが注文フォームのデータの構造やキーと値のペアを理解するように訓練し、ドキュメントからそのデータを抽出して、ロボットや統合がERPに入力できるような構造化形式に変換できます。また、AIが抽出に自信を持っていれば、人間の介入なしにドキュメントをそのまま送信するロジックを設定することも可能です。

AIにおける一つの課題は、予測やデータ抽出を実行するために、結局は機械学習モデルを構築・維持する手間の問題に帰着することが多いことです。より専門的なモデルは高い性能を発揮できますが、適用できるユースケースが限られます。一方、より一般的なモデルは最適な性能を発揮しないかもしれませんが、より多くのユースケースに適用できます。ほとんどの自動化と同様に、機械学習を大量のワークフローで使用することで、より高いROIを達成できるわけです。

AIとRPAがよく誤解される点は、多くのAIツールが機械学習やニューラルネットワークの技術を使用して、データと経験を積むにつれて賢くなるのに対し、RPAツールはそうではないということです。RPAツールは、知的な意思決定を伴わない、不変のタスクを実行する一貫したソフトウェアボットを維持しています。

RPA、AI、そして自動化戦略

企業が自動化戦略を構築しようとする場合、RPAとAIの選択は「どちらか一方」ではなく、適切な課題に適切なツールを適用することが重要です。ビジネスプロセスの一部にはRPAを使い、他の部分にはAIを適用するということです。そのため、RPAはAIを活用したプロセスプラットフォーム、つまりハイパー・オートメーション・プラットフォームの重要な機能になります。とこれは、企業がビジネスプロセス全体をエンド・ツー・エンドで自動化し、運用効率を高めるのを支援してくれます。この種のプロセスプラットフォームは、銀経業における顧客ライフサイクルの管理や、サプライチェーンの最適化、または保険引受業務の迅速化など、複数の人々、部門、システムが関与する複雑なプロセスを合理化します。

AIを活用したプロセスプラットフォームは、インテリジェント・ドキュメント・プロセス(IDP)、ワークフローのオーケストレーション、オンプレミスやクラウド上の異なるソフトウェアシステム間のデータセットを接続し、完全なビューを作成するデータファブリックなど、他の機能も提供します。データファブリックを仮想化されたデータレイヤーと考えてみてください。プロセスプラットフォームを比較する際には、ソフトウェア開発を迅速化し、ビジネスチームとのコラボレーションを容易にするローコードテクノロジー技術を含むものを探しましょう。

結論:プロセスの自動化は、組織全体でワークフローをより効率的かつ生産的にするのに役立ち、単に個々の部分をRPAボットで自動化するだけではありません。

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